『玉蘭』 その2
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/06/10
- メディア: 文庫
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ネタバレ注意です!
結局有子には浪子の”魂”が、一部かもしれないが、何らかの方法で伝わっていたのではないか?第五章ラストの「嫌!」、第六章317p.の「嫌」、で、そう思った。
そしてその第六章の松村の夢で、質としての松村と、医者としての松村が登場するところでは、「じゃあ松村は質の生まれ変わり?」とも思ったが、ラストでそれはひっくり返された。浪子の生まれ変わり?かもしれない有子をどう守れるのか、という質の想いが見させた夢なのだろうと感じた。
では有子の留学生楼に現れた質は?”幽霊”とあったが、若き上海時代を懐かしむ質の想いが六条御息所のように生霊となって上海に現れたのだろう。
松村の部屋に現れたのは有子も”幽霊”というより、有子の生霊だったんじゃないか?
質は浪子の「嫌」といった理由にはたどり着いたのだろうか。私は、質と二度と会えなくなるから、というのがその答えだったんじゃないか、と思った。