『天国と地獄』
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2003/02/21
- メディア: DVD
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今まで、「黒澤監督がいくら有名でも”昔の映画”だから」と、あえて見ようとしてなかったが、たまたま気の迷いで観てみて驚いた。
まず冒頭のシーンで、「丈夫な靴を作ろう」とする主人公と「デザインが良くて適当に壊れる靴を作らないと、靴が売れないじゃないか」という議論がなされる。いいものを提供したいという”良心”と、品質を多少落として”売上至上主義””利益至上主義”を追求しようとする”合理精神”のぶつかり合い。
粗悪品を作って企業は目先の売上や利益を上げられるけれども、次々とゴミになるような粗悪品を作ってたってしょうがないんじゃないか。でも、本当にいいものを見る目が消費者にないとそういう粗悪品をつくる企業に騙されてしまう。そもそも、「靴も服も今年の流行を今年身に着けたい」だけで、長く持っていようなんて思ってない消費者もいる、そういう人は粗悪品だろうが関係ない…。なーんて、現在展開されている”もったいない運動”にも通じることを感じたりした。
その後、主人公を、他の人間が「みんなの株を合わせれば、オヤジ(=社長)の株より多くなる」などと言って会社の乗っ取りに誘おうとする。少し前のホリ○○ン騒動を思い出してしまった。何十年か前だろうが後だろうが、人間のやることなんて、そんなに変わらないんだな、と感じた。
そういえば大学時代、某教授が「年月を重ねたからといって、文化は進歩するとは限らない」という意味のことを言っていたことを未だに覚えているが、まさしくそうだなあ、と感じた。
余談だが、この映画の舞台となった横浜市西区・中区辺りの地理はまあまあわかるので、より親しみを感じた。
この時代の警察の非常に泥臭い捜査方法のシーンを見ると、「こういう時代の警察は大変だったんだなあ」と感心した。(今もそれなりに、たぶん大変なんだと思うが)。
同様に、この映画が作られた時代は今のCGはなかったわけだから、映像やら音やらに関して、「これはどうやって撮ったんだろう」「これを撮るのは大変だっただろうな」等といちいち感心した。
今後も黒澤映画も観ていこうと思っている。
今日の花
職場:アリウム(ギガンディウム)、ルリタマアザミ、リシアンサス(ロジーナブルー)、ヒマワリ(サンリッチパイン)、グラジオラス(グリーンアイル)
自宅:スプレーバラ(フェアリーウィンク)、バラ(アジアンローゼス、ロゼヴィアン)